本作は、長きにわたってミャンマーの情勢に注目しているフランスの劇作家フレデリック・ドゥボミと、香港民主化運動に関心を持つ漫画家柳広成が手を組み、グラフィックノベルという形で、ミャンマーのクーデターからの二年間に生じたこと、その歴史的・政治的な文脈を記録したものである。
物語は、2021年2月1日のクーデターの日から始まり、筆者によるさまざまなインタビューや友人との会話、ミャンマーの知識人や亡命政府による発言などを交えながら、クーデターの経過や社会的雰囲気の変化、88世代とZ世代の相違や国内外の改革勢力を描き出している。
ウクライナや香港における抗議と比較すれば、ミャンマーの民主化運動は孤立無援であるかのように写り、軍政府の弾圧も緩む気配はない。しかし、それでもミャンマー人は民族を超えて団結し、軍事独裁政権に抵抗を続けている。そして、インターネット上で盛り上がりを見せるミルクティー同盟の存在は、近年アジアにおいて民主を希求するなかで生まれた価値観の連帯をより際立たせている。
1975年生まれ、パリ出身。2006年より、Info Birmanie、Euro Burma Networkなど、ミャンマー民主化を支持、促進する組織に参加。執筆したミャンマー情勢に関する書籍、漫画はすでに十数冊にも及び、ルワンダ・ツチ族に対する民族浄化問題に関する著作も発表。