南島文化と生態の惨禍への予言を表現する物語。地球の生態が崩壊する近未来に、陸地は無数の小さな島と都市国家が形成されていた。都市国家では各種族の人類が混在し、飛行や戦闘能力が大事な技能となっていた。動植物は重要な交渉の切り札となっていた。三つの章で構成される世界観は、製作中の動画作品の前日譚となっている。三人の女性の選択を通じ、生命の未来を考える。物語は繊細な音のデザイン、数多くの音楽が用いられ、映画のようなテイストとなっている。
「乳と蜜の土地」
漂流島「蜉蝣」をきっかけに、海上で密貿易をしていた魯本は神秘的な女性・莉莉と出会った。彼女は特別な闇取引を望んできた。目的地は悪名高い黒港。密輸品は彼女自身。黒港の下水道には秘密の温室があり、莉莉は髪の毛を利用してたくさんの種を持ち込んだのだった。
「開花を待つ時」
食糧不足に直面した城下。新しく紅土城の城主となった天野咲は、難しく危険な「迎蜂」の任務を行うため出発した。出発前、護衛隊の隊長が妊娠し、精神的に不安定なのを知る。途中、空賊の襲撃にも遭うが、父親の霊に見守られ、無事に任務を達成する。新しい命を諦めようとしていた隊長も子供を産む決心をする。
「彼女と島の歌」
海洋に漂うゴミは日増しに増え、海流もよどんでいた。漂流する島「蜉蝣」の新しい祭司は、目が見えず、耳の聞こえない痩せた小さな女の子だった。島民は僅かに残る浄土がもうすぐ朽ち果ててしまうのではと心配していた。祭司の少女・黎卡は精霊の世界に閉じ込められているため、精霊の声を島の人に伝えることができない。頭目が危機に陥った時、黎卡の能力がやっと覚醒した。
蜉蝣島の新しい祭祀。とても小柄で痩せている。聾唖者で、霊的能力を持つ。
亡くなった父親の跡を継ぎ、紅土城の城主となった。気性が激しく偏屈。心の中で父親を深く慕っている。
神秘的な女の子。種の密輸を行うため黒港へ行き、未来の夫となる魯本と出合う。護衛隊長のローラの母親。ローラと天野咲が一緒に育つのを見守る。