もうすぐ冬だというのに莫雪飛は仕事が見つからない。空腹のあまり金持ちの子息に狙いを定め盗みを働こうとしたが失敗し、その場で取り押さえられた。梅府に連行され聴取を受けた後、おもいがけず暁風からもてなしを受けた。それというのも莫雪飛の起こした騒動のせいで梅家と木家の婚約が延期となったのが、却って好都合と喜ばれたのだ。暁風は感謝の意を込め金を渡そうとしたが、訳を知った莫雪飛は金を貰う代わりに暫く梅府で仕事をさせてほしいと申し出た。教養溢れる物腰の莫雪飛が、なぜに盗みを働くほど落ちぶれたのか興味もあり梅暁風はその申し出を受け入れることにした。
婚約が破談となったおかげで思いがけずチャンスが手に入った雪飛は、俄然この結婚に興味を持って、婚約者同士は互いを嫌いな訳ではなく、実は隠れた事情があったのだ。機転の利く莫雪飛は自分なりの方法で手助けを始め、問題は上手く解決し、梅暁風も雪飛に信頼を置くようになった。
ある日、正装が必要な大事な晩餐会に暁風は雪飛を伴って参加した。期待通り、雪飛の応対は完璧で客人らの縁談の話を避けられた。失礼がなかっただけでなく、雪飛との応酬を客人らは堪能したのだ!梅府に突然、現れた控え目だが能力のある雪飛のことはすぐに王爺の耳に届いた。晩餐会の最後に、雪飛は王爺と直接、面会する機会が訪れた。王爺は本人を見た瞬間『彼女』を思い出した。眼差しには隠し切れない感情が…莫雪飛はいったい何者なのか?
賢く活発な性格。お金に目がない。話術に長け、親しみやすいが、適度な距離を保って接する様子や、物腰の柔らかさや教養は一般人ではない育ちをうかがわせる。自分のことを滅多に話題にせず、背景は謎である。
年若くして跡を継ぎ、梅府の当主となった。商売は手堅く行うが、性格は大胆で細かいことにこだわらない。家族は弟と彼の二人のみ。木家の娘とは幼い頃から結婚が決まっていた。莫雪飛の背景に興味があり引き留めている。